多元性を見る

「ポジティブな行動を実行するには、ポジティブなビジョンを作り出さねばならない。(中略)自分にとっても他人にとっても善行を施す最大の可能性があるのは、最大の敵対の下でなのだ」
─ダライ・ラマ14世


インターネットの到来で世界は広がった。1960年代に始まったこの新技術は、遠く離れたコミュニティ同士が時間と空間を超えてつながる可能性をかつてないほど高めてくれた。知識は国境を越えるだけでなく、一瞬で言語や文化を超えて広がるようになった。

その一方で、グローバル化のために豊かさや社会的な地位の格差も大きく拡大しつつある。デジタル技術の急速な発展のため、巨大ハイテク企業がますます台頭するようになった。そのため人々はやたらに極端な意見に走るようになり、分断されたタコツボへと落ち込みやすくなっている。

インターネットは、大きな違いを超えて人々を結びつけ、新しいコラボレーションを実現する強力な技術である。だが残念ながら、それはこうしたコラボレーションを潰して新しい分断を引き起こす強力なツールにもなってしまう。最近になってそれがますます露あらわになりつつある。

民主主義が低調なのも偶然ではない。専制主義政権がいまや、世界のGDPの半分近くを支配している。民主主義体制の傘下で安心していられるのはたった10億人ほどでしかなく、20億人以上は専制主義支配の下で暮らしているのだ[1]

あらゆる文化は、川のようなものだ。それは独自の物語を語ってくれる。私たちは、民主主義の川こそが希望の伝達路だと考えている。その川の水位が下がっているなら、それを補わなくてはならない。

本書は、その流れを復活させようとして湧き起こったコラボレーションだ─そしてそれとともに、希望も復活してほしい。

台湾華語で「數位シュウェイ」という言葉は「digital(デジタル)」と「plural(複数)」の両方を意味する。複数すなわちデジタル。デジタルすなわち複数。

「plurality(多元性)」は、民主主義と協働テクノロジーの共生関係を表している。民主主義と協働テクノロジーが合体すれば、無限の組み合わせによる無限の多様性が実現できる。

さあ、未来を解放しよう─みんなで。


  1. V-Dem Institute, Democracy Report 2023 (Gothenburg, Sweden: V-Dem Institute, 2023): 7. ↩︎